保険の請求代行と損害賠償請求支援(加害者・保険会社への対応)

1.はじめに

交通事故に遭われた場合、車の故障だけであったり軽い怪我で済むこともありますが、重症を負うこともあります。また、交通事故直後は、アドレナリンが多く分泌されることが多く、痛みに気付かなかったものの、事故から数日経ってから痛みやしびれ等の事故による傷害が出てくることもあります。また、交通事故に遭った場合に警察への届出をしないと、交通事故現場の実況見分等の捜査が行われず、事故態様を明らかにすることが困難になってしまいます。ドライブレコーダー等の事故状況を明らかにすることができる証拠がないと、そもそも交通事故が発生したこと自体も明らかにできないおそれがあります。すなわち、交通事故の被害に遭ったことを報告しないということは、被害者の不利益となり、損害賠償請求をすることが困難になってしまうおそれが生じてしまいます。

そこで、交通事故の被害に遭ったことで怪我をした場合には、必ず人身事故として届け出るとともに、怪我をしていないと感じていても、時間が経ってから症状が出ることもあるので、念のため病院で受診するようにしましょう。

このように、交通事故に遭った際に、行うべきことを理解しておかないと、保険会社に保険金請求をする際や加害者に損害賠償請求をすることが困難となってしまうことがあるので、不利益を被らないようにするために弁護士が支援できる内容について、本ページでご説明します。

2.損害額の算定

交通事故による損害額は、治療費・入通院付添費・将来介護費・雑費・通院交通費・宿泊費・休業損害・逸失利益・精神的苦痛に対する慰謝料等と多岐にわたる損害費目を総合的に考慮して正当な補償額を算定します。治療費等の交通事故によって直接的に生じた損害であったとしても、交通事故による傷害の治療に必要かつ相当な範囲の費用に限られるため、怪我の治療等において実際に要した費用であっても、損害として認められないことがあります。

たとえば、医師の指示に反した過剰な通院は、交通事故の治療に必要かつ相当な範囲の費用とはいえず、損害として認められません。

交通事故の損害として認められる主な費用は図1のとおりです。

治療費 診察料・検査料・入飲料等の症状固定時までの治療に要した費用のことです。入院中の食費も含まれます。
入院室料
病院の通常の平均的な室料を基準に算定します。
入院雑費
洗面具等の日常雑貨品費、乳製品や果物等の栄養補給費、電話代等の通信費などに要した費用のことです。1日につきおおよそ1,400~1,600円程度が認められています。
通院交通費
転院費や退院費も含め、電車、バス、必要なときのタクシー代等の交通費のことです。
義肢等の費用
義足や義歯、車椅子等に要した費用のことです。
図 1

このように、損害額を算定するだけでも法的知識が要求されますし、多大な手間がかかります。また、弁護士は、上記の損害費目に加え、被害者の生活状況や将来的な影響をも考慮に入れ、より詳細な損害額を算定することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の代理人として損害を正確に算定し、正当な補償額の見積もりをサポートさせていただきます。

3.保険の請求代行

自動車保険は、強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と加入が強制されていない任意保険(対人賠償責任保険や対物賠償責任保険等)の2種類に分けられます。

(1)自賠責保険

交通事故の被害者は、加害者から損害賠償を受けることになりますが、加害者自身に十分な資力がない場合には、被害者は加害者から十分な損害賠償を受けることができません。

そこで、自動車を運転する者には強制的に保険に加入させることで、被害者が最低限の補償を受けることができるようにし、被害者の損害回復を図ろうとしたのが自賠責保険です。

自賠責保険の請求については、加害者側が請求をすることが多いですが、交通事故の過失割合について当事者間に争いがある等の場合には、加害者が被害者に損害賠償金を支払わないことがあります。

被害者が請求をすることもできますが、多くの書類の準備や専門的な知識が要求されます。弁護士に請求代行を依頼することで、書類の作成から必要な証拠の収集の助言を受けることができ、早期に損害賠償金を受け取ることが可能となります。そのため、交通事故の被害に遭われた方は、面倒な書類作成・提出等をする必要がないので、安心して治療や生活に専念することができます。

(2)任意保険

自賠責保険は、自動車の運行によって他人の生命や身体に損害を与えた場合に保険金の支払いがなされますが、物損事故や被保険者自身の死亡・怪我の場合には保険金の支払いがなされません。このように、自賠責保険ではカバーできない部分の補償を受けるために任意で加入するのが任意保険です。

任意保険は、損害保険会社によって内容や保険料が異なりますが、主な任意保険としては、対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、車両保険等があります。

加害者が任意保険に加入していた場合には、加害者が加入している任意保険会社と損害額について、やり取りをすることになります。もっとも、加害者が加入している任意保険会社としては、被害者に支払う保険金を少しでも抑えようとする傾向にあるため、専門的な知識がない場合には、十分な補償を受けることができない可能性があります。

そこで、弁護士に請求代行を依頼することで、不当に低廉な保険金を受け取ることを回避し、適切な保険金の支払いを受けることが可能となります。具体的には、賠償金の算定基準として「弁護士基準」を用いたり、過失割合について過去の裁判例をベースに主張したり、損害額の必要性かつ相当性を主張します。また、書類の作成から必要な証拠の収集の助言も行います。そのため、交通事故の被害に遭われた方は、面倒な書類作成・提出等をする必要がないので、安心して治療や生活に専念することができます。

4.訴訟対応

加害者・加害者が加入している保険会社との間で損害額の示談が成立しない場合には、民事訴訟を提起する必要があります。なお、弁護士を依頼しないで自分一人で民事訴訟を提起することもできます(「本人訴訟」と言います。)が、裁判準備のために多くの時間がかかりますし、専門的知識が要求されるので、安心して治療や生活に専念することができないだけでなく、有利な条件での和解をする時期を失し、敗訴して損をしてしまうこともあります。そのため、弁護士費用を節約したいという理由だけをもって本人訴訟を行うことは避けるべきでしょう。

民事訴訟を提起すると、以下の流れで進行していきます。

①訴状の作成と提出

民事訴訟を提起するには、裁判を起こした人(原告)がその言い分を記載して裁判所に提出する書類(訴状)を作成しなければなりません。

訴状には、相手方(被告)に求める損害額、交通事故の内容(日時・場所・当事者・事故態様)、加害者側の過失行為、過失行為と損害の因果関係等を記載する必要があります。その際に、交通事故証明書や実況見分調書、休業損害証明書写し等の客観的証拠と整合するように記載し、訴状とともにこれらの証拠を提出しましょう。

裁判所に訴状が届くと、訴状に誤りや添付すべき証拠に不備がある場合には、訂正を求められます。訴状が裁判所に受理されると、正式に民事裁判が開始します。

②答弁書の作成

被告が訴状を受け取ると、原告の主張に対する反論を答弁書という書面に記載し、裁判所に提出します。このように、民事裁判では基本的に書類でのやり取りが行われます。

③第1回口頭弁論

被告からの答弁書が裁判所に提出されると、第1回口頭弁論が行われます。この期日では、訴状陳述と答弁書陳述という手続が行われます。なお、陳述とありますが、実際には書類の確認と受け渡しがなされるだけであり、一般的には数分で手続が終了します。

第2回口頭弁論以降も、同様に、期日までに当事者が自分の言い分を書面に記載し、期日では作成した書面を陳述することになります。

④和解協議

書面でのやり取りをしている途中で、裁判官から和解による解決を提案されることあります。和解を受け入れるのであれば、その時点で訴訟は終了します。

弁護士を依頼していれば提示された和解案が適切な条件なのかを判断することができますが、本人訴訟の場合には本来であれば得られた金額よりも低い金額で和解をしてしまう危険性があります。

⑤証人尋問

事案によっては、加害者や被害者等に対して、尋問がなされます。交通事故の態様や後遺障害の内容について尋問がなされることが多いです。

尋問で発言した内容は、裁判官の心証形成に大きな影響を与えるため、発言内容には気を付けるようにしましょう。

⑥判決

当事者による主張・反論が終了すると、裁判所は判決言い渡し期日を指定し、判決を言い渡します。その際に、損害賠償額とその理由が述べられます。

当事者が判決に不服がない場合には、判決の言い渡しをもって事件が終結します。

このように、民事訴訟は書面でのやり取りであることから、弁護士に依頼をしなくても自分一人でも調べれば対応できそうだと思われるかもしれませんが、正当な損害賠償を獲得するためには、やはり弁護士に依頼をするべきでしょう。弁護士は被害者側代理人として速やかに民事訴訟を提起し、民事裁判で加害者の法的責任と適切な賠償額を主張立証し、適正な金額を受け取れるよう全力で弁護活動を行います。

5.おわりに

交通事故によって怪我を負った場合には、基本的には加害者又は加害者が加入している保険会社に損害賠償請求をすることになります。加害者から損害賠償金を獲得する手段としては、主に、調停又は訴訟といった裁判手続を利用する手段と裁判手続を利用しない示談という手段が考えられます。

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