1.はじめに
日本で生活するに当たっては、多くの税金の支払が求められます。物を購入する際の消費税、株式会社など法人の所得にかかる法人税等およそ50種類もの税金があります。
税金は、地方公共団体が行うインフラの整備や社会保障等を行い、全国民の利益に資するようにするために必要なものです。税金は私たちの生活にとって欠かせないものであり、納税は国民の義務として憲法上定められています(憲法30条)。そのため、脱税とは、国民の義務を果たさない悪質な行為とされています。
国税庁の発表によると、令和5年度の悪質な脱税者として検察庁に告発した件数は101件であり、その脱税総額は89億円とされています(1件当たりの脱税額は約880万円です。)。このように、脱税・税務犯罪事件で刑事事件化してしまうものは、その額が桁違いなものであるため、弁護士には刑事事件だけではなく、脱税・税務犯罪事件に関する知識も要求されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は全員国税局税理士業務通知をしているので、税理士業務を行うことができる弁護士です。そのため、脱税・税務犯罪事件という国税局査察部や検察庁特別捜査部といった専門部署が直接捜査や調査を担当する事件であっても、脱税・税務犯罪事件に精通した弁護士が企業経営者や個人事業主の方の力になれるように、丁寧かつ迅速な弁護活動をお約束します。
2.税務調査
・税務調査とは、国税庁が監督する税務署の調査官によって行われる納税義務者の申告内容が法人税法等の法律に従っているかを質問や帳簿等の確認によって調査し、従っていない場合には法律に基づいた正しい税額を計算、確定する手続のことを言います。
・一斉に全ての企業や個人事業主の調査があるわけではありませんが、通常3~5年に1回程度の割合で税務調査が行われます。なお、脱税が疑われる場合には、毎年、税務調査が行われることもあります。課税額が1,000万円を超えるような状況になると、税務調査が行われる可能性が高まると言われています。
・納税者に対して調査の開始日時・開始場所等が事前に通知で指定されるので、基本的には不意打ちで税務調査が行われることはありません。ただし、事前通知をすると調査に必要な帳簿書類を改ざんしたりすること等が予想される場合等には、事前通知がされないこともあります(国税通則法74条の10)。 たうえで調査への立会いを求めましょう。
・反面調査の必要性の検討
反面調査とは、支払調書・源泉徴収等を提出する義務がある者及び納税の義務がある者と取引関係にある者を対象とした調査のことを言います。
反面調査は、取引先からの信用を損なってしまうおそれのある調査ですので、その必要性等、調査官に対して適切な反論等を行うために、弁護士の調査への立会いを求めましょう。
3.国税局による査察調査
・査察調査とは、税務調査とは異なり、「強制的な調査」であり、臨検、捜索、差押え等の権限があり、悪質な脱税を摘発することを目的とする調査のことを言います。事前の連絡はなく、企業や事務所、個人事業主の家に一斉に国税局査察部の査察員が押しかけて調査が開始されます。
・査察調査は、検察庁への告発を目的としているので、事前に綿密な内定調査を行い、ある程度の証拠を掴んでから査察調査を開始します。
・国税庁の発表によると、令和5年度の告発件数は101件であり、告発率は66.9%です。
査察調査には、任意調査・強制調査・質問調査の3種類の調査があります。
・任意調査(国税通則法131条)
質問や検査によって相手方の意思に反しない限度で行われます。あくまでも任意で行われるという点で税務調査に似ています。
・強制調査(国税通則法2条)
脱税・税務犯罪の調査をする際に、必要が認められる場合に裁判官の許可を得て行われる臨検、捜索、差押えができるとされています。
・質問調査
強制調査等の後に行われる査察員による取調べのことです。
原則として国税局の取調室で2人一組の国税査察官により行われます。企業の社長や事業主の他、経理担当者、取引先、脱税の関係者らといったように多くの人が呼び出しを受け、取調べに対応することになります。
取調べは任意で行われますが、その取調べの対応結果によっては検察官による逮捕・勾留がなされる危険があるので、その対応には注意が必要です。また、任意であるからといって取調べに応じないと、非協力的であると判断され、検察官による逮捕・勾留がなされる危険があるので、この点も注意が必要です。取調べの対応については法律に詳しくない方では判断が難しいので、法律の専門家である弁護士に相談をするようにしましょう。
以下の調査は1年を超える長期間行われることが通常です。また、刑事事件化すると、更に長期間、対応することが求められます。上記のとおり、告発率は高いので、査察調査が入った段階で、告発後の検察官による捜査まで見通した対応が必要になると考えるべきです。そのため、国税局に疑われている脱税・税務犯罪の事実がないこと、高額の脱税ではないこと等を質問調査等において適切な説明をできるように準備しましょう。場合によっては、質問調査への弁護士の同席や、国税局等に弁護士を通じて意見書を提出し、交渉してもらうことが有効な場合もあります。
なお、告発がなされなかった場合には、修正申告等による課税処理がなされますが、刑事罰を受けることはなくなります。