1.はじめに
出入国在留管理庁の発表によると、令和6年6月末現在における中長期在留者数は331万1,292人であり、特別永住者数は27万7,664人であり、これらを合わせた在留外国人数は358万8,956人となっています。
外国人が日本で生活をするためには、ビザ(査証)・在留申請をしなければなりません。日本に在留しており、引き続き日本での在留を希望する場合には、期限内に申請しなければなりません。しかし、「日本語が分からないから」「手続が複雑で理解できないから」「面倒だから」といって放置してしまうと、在留資格の取消しや不法残留(オーバーステイ)として退去強制(強制送還)されてしまう可能性があります。また、在留資格を有していない者を就労させたり、在留資格を有しているものの与えられた資格以外で就労させた場合には、雇用主は不法就労助長罪(入管法73条の2)として処罰されます。そのため、入管・在留手続については日本人であっても関わりのある制度なのです。出入国管理庁の発表によると、令和5年7月1日時点の本邦における不法残留者数は7万9,101人です。
ビザ申請から在留期間更新の手続は非常に複雑ですし、間違えた手続をしてしまうと退去強制にもなりかねないので、入管・在留手続にお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、入管・在留手続に精通した弁護士と行政書士がチームを組み、初回の相談から事件解決まで一貫してサポートすることをお約束いたします。
対応可能言語
・英語
・中国語
・韓国語 など
2.不法残留をしてしまったら
不法残留をしてしまうと入国管理法違反として退去強制(強制送還)の対象になってしまいます。そのため、不法残留をしてしまった場合には、以下の対応を必ず取るようにしましょう。
・在留期間の更新申請を特別受理してもらう
・出国準備をして出国命令制度により出頭する
・在留特別許可の取得を目指して出頭する
自主的に出頭する場合には収容を回避することができますが、退去強制事由の存在が摘発された場合には収容されてしまいます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、出頭の同行サービスも提供していますので、収容を回避したい方は、お電話ください。
(1)在留期間の更新申請を特別受理してもらう
(2)出国準備をして出国命令制度により出頭する
在留期間の最後の日から2か月以上経過していたとしても、日本からの出国を希望する場合には、出国命令制度に基づいて出頭することにより、入管での収容期間や再上陸拒否期間の短縮等が得られることもあります。具体的には、最長15日間の出国期限が定められ、その期間中に日本から出国するよう命じられますが、入管に収容されることがなくなったり、日本への再上陸拒否期間が通常の5年から1年に短縮されます。
出国意思を示して出頭したにも関わらず、在留し続けた場合には、出国命令違反として刑罰(3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金又はその併科)が科される可能性があるので、出国命令制度に基づいて出国をするのか、在留特別許可の取得を目指すのかの意思を固めてから行動するようにしましょう。その際には、入管・在留に精通した弁護士や行政書士に相談をすると良いでしょう。
(3)在留特別許可の取得を目指して出頭する
在留期間の最後の日から2か月を経過してしまった場合に、日本での在留を希望する場合には、在留特別許可を受けなければなりません。
傾向的に、退去強制事由が不法残留である場合には、在留特別許可を受けられうる可能性が高いので、引き続き日本での在留を希望するのであれば、在留特別許可の申請を検討しましょう。
3.不法残留をしてしまった場合の手続の流れ
不法残留をしてしまった場合の手続の流れは、以下のとおりです。
①入国警備官が退去強制事由に該当する疑いのある者(容疑者)を発見し、必要な証拠資料を収集します(「違反調査」と言います)。
②違反調査の結果、容疑者が退去強制事由(出入国管理法24条各号)のいずれかに「該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは」(出入国管理法39条)、主任審査官に収容令書の発付を求めます。
③収容令書が発布されると、入国警備官は、令書の執行として、当該容疑者の身体を拘束して一定の場所に収容します(出入国管理法41条、42条)。その際、容疑者の身体は、調書や証拠物とともに入国警備官から入国審査官に引き渡されます(出入国管理法44条)。
④入国審査官に引き渡された後は、入国審査官が「審査」を行います。入国審査官が、容疑者が退去強制事由に該当する旨を認定した場合には、その旨を主任審査官及び容疑者に通知し、容疑者がこの認定に服するときには、主任審査官は退去強制令書を発布します(出入国管理法45条、47条)。一方で、入国審査官が、容疑者が退去強制事由に該当しない旨を認定した場合には、直ちに容疑者は放免されます。
⑤特別審査官が、入国審査官の認定に誤りがないと判定した場合には、その旨を主任審査官及び容疑者に通知し、容疑者がこの判定に服したときは、主任審査官は退去強制令書を発布します(出入国管理法48条)。一方で、特別審査官が、入国審査官の認定が事実に反すると判定した場合には、直ちに容疑者は放免されます。
⑥容疑者による法務大臣への異議の申出に基づき、法務大臣が異議の申出に理由がないかどうかの裁決を行います(出入国管理法49条)。法務大臣は、異議の申出に理由があるかどうかを裁決した結果を主任審査官に通知をし、異議の申出に理由がないとの裁決の通知を受けた主任審査官は、容疑者にその旨を伝えるとともに、退去強制令書を発布します。一方で、主任審査官が、異議の申出に理由があるとの裁決の通知を受け取った場合には、直ちに容疑者は放免されます。
⑦退去強制令書の執行として、容疑者を強制的に送還します(出入国管理法52条3項)。また、送還するまでの間、容疑者を強制的に収容することもできます(出入国管理法52条5項)。
なお、出国命令制度に基づいて出国をする場合には、強制的に収容されることも送還されることもなくなります。
4.在留特別許可
退去強制事由に該当する容疑者であっても、出入国管理法50条1項所定の事由があると認められる場合には、在留が特別に許可されます。
①永住許可を受けているとき
②かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
③人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき
④その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
不法残留となった外国人に対して在留特別許可認められる事例としては以下のものがあります。
・日本人(永住者等も含む。以下同じ。)と婚姻したために日本に在留する必要があった場合
・日本で生まれた子どもを日本で養育していくために日本に残留する必要があった場合
どのような場合に在留特別許可が得られるのかについての一般的な基準は、「在留特別許可に係るガイドライン」として入国管理庁のホームページで公表されていますが、考慮要素を挙げて、これらの事情を総合的に判断するとされています。たとえば、日本人と婚姻したために日本の在留する必要があるというためには、不法残留をした者であることが発覚する前に、当該外国人と日本人との間の婚姻が日本国内で完了し、婚姻期間が一定期間あることが認められる必要があります。そのため、婚姻手続を経たうえで入国管理局に出頭する前に、不法残留の容疑で逮捕されて違法調査が開始されてしまうと、入管当局は、逮捕後に婚姻したことを書類で証明しただけでは在留特別許可を出してくれません。このような場合には、送還逃れのための偽装結婚との疑いを払拭するために、真摯な婚姻意思であること、同居の事実や婚姻準備の事実などを明らかにする必要があります。また、未成年の子がいたり、長期間平穏に暮らしていたりすると、婚姻前であっても在留特別許可が出る可能性があります。
在留特別許可を得たいと考えている方は、弁護士に相談をし、アドバイスをもらいましょう。