少年事件の弁護活動

1.はじめに

少年事件の対象となる者は,非行のある少年です(少年法1条)。そして,少年法上,少年とは,20歳未満の者を言うとされています(少年法2条1項)。そのため,以下では特に断りのない限り,「少年」とは20歳未満の者のことを指します。

また,非行のある少年とは,下記の図1のいずれかに当たる少年を言うとされています(少年法3条)。

犯罪少年 罪を犯した少年(少年法3条1項1号)
触法少年
刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたが,行為の時14歳未満であった少年(少年法3条1項2号)
虞犯(ぐはん)少年
保護者の正当な監督に服しないとか,正当な理由がないのに家庭に寄り付かないとか,いかがわしい場所に出入りするとかいう一定の事由(虞犯事由)があり,その性格や環境から見て将来罪を犯すおそれ(虞犯性)のある少年(少年法3条1項3号)
図 1

2.捜査

(1)事件の端緒

犯罪が起きて捜査機関がこれを認知すると捜査が始められます。捜査は,犯人を見つけ,その犯罪・犯人についての証拠を収集する手続であり,被害者の届出,目撃者などによる通報,警察官による発見などをきっかけに開始されます。

(2)身体拘束(逮捕・勾留)

被疑者(捜査機関から犯罪の嫌疑をかけられており,かつ公訴提起されていない者のこと。一般的には容疑者と言われている者のことです。)に対する犯罪の嫌疑が高まり,逃走したり,証拠を隠滅するおそれがある場合には,身体を拘束(逮捕)して捜査がなされることがあります。逮捕がなされると,最大72時間,留置場等で身体を拘束されることになります(刑事訴訟法203条~205条)。もっとも,少年に対する逮捕については,警察の内規(犯罪捜査規範208条)上,なるべく避け,やむを得ず逮捕する場合には,その時期,方法について特に慎重な注意を払うことが要求されており,少年に対する逮捕に慎重に行われています。

そして,捜査機関が少年を逮捕した後,身体拘束をしたまま捜査を続ける必要があるとして,裁判官もその必要性を認めた場合には,追加して10日間の身体拘束(勾留)がなされます(刑事訴訟法208条1項)。また,10日間の勾留をしても身体拘束を続けて捜査をする必要が認められる場合には,更に最長10日間の勾留がなされます(刑事訴訟法208条2項)。

また,少年については,勾留に代わる措置として観護措置という制度が設けられています(少年法43条1項)。観護措置とは,単に少年の身体を拘束しておくだけの制度ではなく,少年の心身の鑑別を行う制度です。勾留との違いについては,図2のとおりです。

勾留 勾留に代わる観護措置
手段
身体拘束処分しかない。
身体拘束のない家庭裁判所調査官による観護の方法(少年法17条1項1号)もある。
期間
期間は最大20日間(犯罪の種類によっては最大25日間)。
期間は最大10日間(少年法44条3項)。
図 2

もっとも,少年鑑別所は,原則として各都道府県所在地に1か所しかないので,遠隔地の警察署からは往復に時間がかかる等の捜査の都合上,少年に対しても勾留がなされているのが実情です。

いずれにせよ,一度身体拘束がなされると長期間にも及ぶことから,職場を解雇されたり,通学している学校を退学しなければならないリスクを負うことには注意が必要です。

(3)家庭裁判所への送致

捜査機関は,捜査の結果,少年に犯罪の嫌疑があると判断した場合には,家庭裁判所に事件を送致することが義務付けられています(少年法41条,42条)。

(4)弁護活動

上記のとおり、少年事件であっても、逮捕・勾留される可能性はあります。また、少年に犯罪の嫌疑があると判断されると事件が終結するまでに時間がかかってしまうことになります。そのため、少年事件に関わってしまった場合には、弁護士に相談をし、以下の弁護活動を受けるようにしましょう。

①逮捕された方と接見(面会)して、取調べの対応のアドバイス及び事件の見通しについての法的なアドバイス

②調書作成までに間に合えば、調書作成の対応のアドバイス

③勾留請求までに間に合えば、検察官に対し、勾留請求しないようでほしい旨の働き掛け

④逮捕された方とご依頼者様が異なる場合には、ご依頼者様に対する接見の状況及び伝言の報告

⑤勾留決定前であれば、裁判官に対し、釈放してほしい旨の働き掛け

⑥勾留決定後であれば、裁判所に対し、勾留決定を取り消して釈放するように求める書類の提出

⑦家庭裁判所不送致に向けた容疑者・犯人に有利な証拠収集(弁護士による証拠収集)

⑧検察官に対し、嫌疑について疑いを有している旨の意見書の提出

⑨環境調整活動(家庭・学校・職場に対する働き掛け)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所所属の弁護士は、少年事件に精通しているので、上記の弁護活動を迅速かつ丁寧に行うことが可能です。

3.家庭裁判所への送致後

(1)はじめに

事件の送致がなされると家庭裁判所の調査官は,少年の非行事実の存否等に関する調査(法的調査)及び要保護性に関する調査(社会調査)を行い,家庭裁判所の裁判官は,これらの調査結果等を踏まえて処分内容を検討します。なお,少年事件の審理対象は,非行事実だけではなく,要保護性も含まれており,非行事実が軽微であっても要保護性が高い場合には少年院送致のような重い処分に付されることもあるため,軽微な事案であっても要保護性の解消に向けた活動を積極的に行う必要があることには注意が必要です。

(2)観護措置

家庭裁判所が,少年の身上を図りながら心身の鑑別を行うとともにその身体を拘束する必要があるなど,審判を行う必要があると判断したときには,観護措置がなされることがあります(少年法17条1項)。

観護措置の期間は原則2週間ですが,1度更新されて4週間以内とされることが多いのが通常です(少年法17条3項)。

(3)審判

少年事件は,公開の法廷での公判が開かれることはなく,非公開の審判という手続で審理が行われます(少年法22条2項)。

少年事件では,図3のように処分の選択を幅広く行うことができるようになっています。家庭裁判所は,少年に最適な処分が何かということを検討し,図3のいずれかの処分をすることになります。

①審判不開始(少年法19条1項) 裁判官による審判を経ずに,教育的働き掛けがなされるにとどまり,具体的な処分は行われない。
②不処分(少年法23条2項)  審判期日における裁判官による教育的働き掛けが行われるものの,具体的な処分は行われない。
③知事又は児童相談所長送致(少年法18条,23条1項)  児童福祉法による措置に委ねるために,児童福祉機関に事件を送致するもの。
④保護処分
保護観察(少年法24条1項1号)  少年の身体を拘束せず,保護観察官や保護司が指導監督と補導援護を加え,少年の改善更生を図るもの。
児童自立支援施設又は児童養護施設送致(少年法24条1項2号)  児童福祉施設で少年の改善更生を図るもの。
少年院送致(少年法24条1項3号)  再非行のおそれが強く,社会内での更生が難しい少年を少年院に収容して矯正教育を行うもの。
⑤検察官送致(少年法20条,23条1項,19条2項,23条2項)  犯罪の内容,少年の心身の成熟度,犯罪性の程度からみて,保護処分よりも刑事処分が適当と認められる場合に行われ,成人と同様の刑事裁判が行われる。
図 3

少年審判は、基本的に1回で終了することが多いです。 なお,裁判官は,事案によっては,少年に対し図3の④保護処分のうち,いずれの処分にするのかを直ちに決めることが困難な場合があります。そのため,少年に対する最終的な処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を観察することで,少年の問題性をできるだけ正確に把握して,少年に最適な処分が何かを見極めるために,相当の期間,少年を調査官の観察に付することがあります。この決定のことを,試験観察(少年法25条)と言います。

試験観察の期間は,事案によって異なりますが,は3カ月~4カ月程度が目途とされています。試験観察期間中は,家庭裁判所に出頭して,調査官と継続的に面接をするほか,調査官が少年に毎日,日記や作文を書くなどの課題や,心理テストを行うなどしたり,少年友の会・学生ボランティアなどの協力・援助を得て活動を行わせたり,交通非行や薬物非行などで行われる集団的な講習に参加させるなど種々の活動を行うことになります。

(4)弁護活動

ア 観護措置を避けるための弁護活動

観護措置は、上記のとおり、長期間の身体拘束を伴います。そのため、観護措置が不必要であると考えられる場合には、以下の弁護活動を受ける必要です。

①家庭裁判所への意見書の提出 

②裁判官・調査官との面談/p>

③観護措置決定に先立って行われる審問への立会い

④観護措置決定に対する異議申立て、観護措置取消しの申立て

イ 審判に向けた弁護活動

少年の更生にとって望ましい処分を考え、家庭に早期に戻ることができるようにする必要があります。そのため、少年と信頼関係を構築することができる、少年に寄り添って弁護活動をしてくれる弁護士を選任することが重要です。審判に向けた弁護活動としては、以下のものが挙げられます。

①裁判官・調査官との面談・協議

②鑑別技官(少年鑑別所において、少年の心身鑑別等を担当する者)との面会

③少年院を回避するために有利な証拠の収集

④家庭裁判所に対する審判結果についての意見書の提出

ウ 審判終了後の更生に向けた弁護活動

審判終了後、少年が再び非行に走らないためには、更生支援を行い、環境調整をすることが必要です。環境調整は、保護者だけでは難しいこともあるので、少年事件に精通した弁護士の力を借りることが重要となります。

①帰住先の確保・調整

②就労先の確保・調整

③少年院での面会

④少年の社会復帰を支援する関係者会議への出席

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所所属の弁護士は、少年事件に精通しているので、上記の弁護活動を迅速かつ丁寧に行うことが可能です。

4.おわりに

少年事件は、上記のとおり、成人の刑事事件とは手続が大きく異なります。特に、少年事件では、少年の今後の更生という点に重点が置かれているので、少年に親身に寄り添ってくれる弁護士を選任することが非常に重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件・少年犯罪に精通した弁護士が、十分なコミュニケーションによって子どもとそのご家族の心の痛みを理解することで、一日でも早く事件を解決するだけでなく、少年が再び非行に走らないように更生支援にも全力で取り組みます。

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