ひき逃げ当て逃げの弁護

1.はじめに

私たちが生活をするにあたって、自動車の存在はなくてはならない存在です。昨今、若者の車離れが取り沙汰されるなど、車を利用しない生活を送る人が増えています。しかし、マイカーを所有しないものの、旅行に行く際に、レンタカーを借りて運転するという人は多いのではないでしょうか。現に、運転免許を取得している人数は、令和6年時点で8174万2303人と多くの人が車を運転することができる環境にいます(警察庁『運転免許統計(令和6年版)』参照)。

車は便利な道具であるとともに、道路交通法を守っていなかったり、守っていたとしても交通事故を引き起こしてしまうと、重大な結果を引き起こしてしまう危険性が潜んでいます。令和5年度のひき逃げ件数は、7,183件です(『令和6年版犯罪白書』第4編第1章第2節参照)。また、その検挙率は72.1%であり、死亡事故に限ると、おおむね90%を超える高水準です。そのため、人身事故を起こしてしまった場合には、高い確率で捜査機関に発覚すると思っていた方が良いでしょう。もっとも、ひき逃げや当て逃げをしてしまった方は、交通事故を起こしてしまって、気が動転していたり、衝撃が小さくて気付かなかったとして現場を離れてしまうことが多いでしょう。そのため、万が一に備えて、ひき逃げや当て逃げをしてしまった場合の刑事責任と対応策を知っておきましょう。

2.ひき逃げ

(1)ひき逃げとは

ひき逃げとは、自動車や原動機付自転車の運転中に、人身事故を起こした場合に、道路交通法上義務付けられている負傷者の救護義務(72条1項)、危険防止措置義務(72条1項)や警察への報告(72条1項)を怠って事故現場を離れることを言います。

被害者の不注意で運転手の不注意がないこと(無過失)が明らかであったとしても、人身事故を起こしたのにもかかわらず、負傷者の救護、危険防止措置や警察への報告を取らずに事故現場を立ち去った場合には、ひき逃げとして処罰されます。相手方が「大丈夫です」と言っていたことから、問題ないと思ってそのまま事故現場を立ち去った場合であっても、後日、相手方が身体に痛みを感じて受診をし、警察に診断書を提出した場合には、救護義務違反としてひき逃げにあたると判断されることもあります。そのため、人身事故を起こしてしまった場合には、必ず、車両等の運転を停止し、負傷者の救護や危険防止措置を取るように気を付けましょう。特に相手方が子どもである場合には、咄嗟に「大丈夫です」と答えてしまうことが多いので、注意が必要です。

(2)刑事責任

ひき逃げの法定刑は「5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」又は「10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」です(道路交通法117条1項、2項)。人身事故の原因が運転手にない場合が前者であり、運転手に原因がある場合には後者と法定刑が大きく異なります。

また、飲酒等の影響により、不注意による人身事故を起こした場合に、飲酒等の有無又は程度が発覚することを免れるために、更に飲酒等をすることをした場合には、「12年以下の拘禁刑」に処されます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条)。

さらに、ひき逃げは、事故現場から立ち去っていることから、逃亡するおそれがあるとして、逮捕・勾留される可能性が非常に高いです。それだけでなく、ひき逃げは、人身事故を前提としている犯罪であることから、危険運転致死傷(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条、3条)又は過失運転致死傷(同法5条)でも刑事責任を問われることになります。被害者の受傷状況によっては実刑となり、長期間刑務所に入る可能性が高いです。

3.当て逃げ

(1)当て逃げとは

当て逃げとは、自動車や原動機付自転車の運転中に、物損事故を起こした場合に、道路交通法上義務付けられている危険防止措置義務(72条1項)や警察への報告義務(72条1項)を怠って事故現場を離れることを言います。

被害者の不注意で運転手の不注意がないこと(無過失)が明らかであったとしても、物損事故を起こしたのにもかかわらず、危険防止措置を取らずに事故現場を立ち去った場合には、当て逃げとして処罰されます。

(2)当て逃げの刑事責任

物損事故を起こしたとしても、道路交通法上義務付けられている危険防止措置義務や警察への報告義務を履行した場合には、刑事責任を負うことはありません。しかし、これらの義務を履行せずに、事故現場を立ち去ってしまうと当て逃げとして処罰されることになります。

危険防止措置義務違反の場合の当て逃げの法定刑は「1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」です(道路交通法117条の5第1項第1号)。警察への報告義務違反の場合の当て逃げの法定刑は「3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金」です(道路交通法119条1項17号)。

さらに、当て逃げは、事故現場から立ち去っていることから、逃亡するおそれがあるとして、逮捕・勾留される可能性があります。

4.ひき逃げや当て逃げをしてしまった場合の対応策

上記のとおり、適用される罪によって、法定刑が大きく異なります。そのため、ひき逃げや当て逃げをしてしまった場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、弁護活動を受けることが大切です。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、交通事故・交通違反を重点的に扱っているため、ひき逃げや当て逃げをしてしまった方の弁護を得意としている弁護士ならではの弁護活動を提供することができます。以下は、その一例です。

 ①警察官に対し、逮捕しないでほしい旨の働き掛け

②逮捕された方とすぐに接見(面会)して、取調べの対応のアドバイス及び事件の見通しについての法的なアドバイス

 ③調書作成までに間に合えば、調書作成の対応のアドバイス

④勾留請求までに間に合えば、検察官に対し、勾留請求しないようでほしい旨の働き掛け

⑤逮捕された方とご依頼者様が異なる場合には、ご依頼者様に対する接見の状況及び伝言の報告

⑥不起訴・無罪に向けた容疑者・犯人に有利な証拠収集(弁護士による証拠収集。示談交渉等)

⑦勾留決定前であれば、裁判官に対し、釈放してほしい旨の働き掛け

⑧勾留決定後であれば、裁判所に対し、勾留決定を取り消して釈放するように求める書類の提出

⑨接見等禁止処分が付されている場合、裁判所に対し、家族や関係者との接見(面会)を許可するように求める書類の提出

⑩検察官に対し、不起訴処分が妥当である旨の働き掛け

⑪保釈請求

⑫無罪獲得に向けた裁判準備

⑬執行猶予又は減刑に向けた裁判準備

ひき逃げや当て逃げに身に覚えがない場合には、アリバイや真犯人の存在を示す証拠や被害者や目撃者の証言が信用できないことを示す証拠等を捜査機関に提出することにより、不起訴や無罪判決の獲得を目指すことができます。なお、実際に当て逃げをしていたとしても、物損事故を起こしたの認識(故意)がなかった場合にも当て逃げは成立しないので、事故現場の状況や物損状況等から物損事故を起こしたことを認識することが困難であったことを主張することで不起訴や無罪判決の獲得を目指すことができます。

また、ひき逃げや当て逃げをしてしまった場合であっても、運転態様が悪質ではないこと、警察への自首や被害者への被害弁償や示談を行うことによって起訴猶予、執行猶予付き判決の獲得や大幅な刑の減軽を目指すことができます。特に、警察への自首や被害者との被害弁償、示談を成立させることができれば、逮捕・勾留される可能性を大幅に下げることができるだけでなく、早期に事件を解決して社会復帰できる可能性を高めることができます。

5.おわりに

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、交通事故・交通違反事件を重点的に扱っており、交通事故・交通違反に強い弁護士が初動から刑事裁判まで一貫してサポートいたします。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回相談は全て無料となっておりますので、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所所属の弁護士が、あなた様の不安を少しでも軽減できるよう、相談に対応させていただきます。

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